『告白
文章力もあり、なるほど各所で取り上げられるはずだと思いました。
…が、私には合わなかったです。
特に結末について、納得できませんでした。
娘を殺した少年ABに復讐したいと思う森口先生の気持ちはわかります。
でも、復讐の手段として、牛乳に血液を混入させ、それを含めて犯人をクラス全員の前で告発するなどという方法をとるべきではなかったと思います。裁きを下したいのなら、ABにピンポイントで、自分の手で直接、制裁を加えるべきでした。
先生はクラス全員の前で『告白』することにより、クラス中に悪意をまき散らしました。復讐対象はABだけのはずなのに、なぜ全く関係ない他人を巻き込んだのでしょう。
また、血液入りの牛乳をAB以外の人が誤って飲んでしまったら、どうするつもりだったんでしょうか。感染したABが怪我をして、親切にも彼らの傷の手当てしたために血液感染してしまった人間が出てきたら、先生はどう言い訳するつもりだったんでしょうか。
以上が第1章を読んだ時の感想でした。
そして、最終章まで読み、ますます森口先生の行為に納得できなくなりました。
森口先生は、クラスメイトにいじめられて、ABが殺されてしまえばいいと考えていたそうです。つまり、先生は、ABをなぶり殺しにするため、クラスメイトをその処刑人に仕立て上げたということです。
私には、この行為が、自分の欲を満たすためには、他人がどうなろうと知ったことではない。私はABをいじめろだなんて一言も言っていないのだから、どんな結果が起きようと、その責任はいじめを始めた本人にある、という自己中心的な考えからくるものに感じられました。
先生はABを徹底的に糾弾していましたが、もし仮に先生がこう考えていたとしたら、先生も結局同じ穴の狢だったということになります。
にもかかわらず、最終章でAに対し、上から目線でとうとうと語っています。それこそ「何様のつもり」なのかと思いました。
そして、すべて先生の思惑通りだった、という結末には幻滅しました。
私は、AB以外の人間も不幸に陥れてしまった先生の行為に対し、先生自身が後悔する、または、先生になんらかのしっぺ返しがくる、そう期待していました。
他人に対する悪意は、結局は自分に跳ね返ってくる、というような。
しかし結末は、「計画通り!」 完。
…え?これで終わり?
著者は森口先生の行動を全肯定しているのでしょうか。
確かに、何の罪もない幼い娘が殺され、復讐したいと思う母親の心情は理解できます。
しかし大学の研究室に爆弾を移動させるのは許されるんでしょうか。
先生が、Aの母親に責任があると考えるのは、まぁ理解できますが、おなかの中にいる子供まで巻き添えにするのはどうなんでしょう。
仮に子供がいることを知らなかったとしても、そんな言い訳が子供の父親に通用するでしょうか。
父親にしてみれば、森口先生は、妻だけでなく、生まれてくる子供まで殺した殺人者です。
子供には何の罪もありません。
つまり、結局森口先生は、自分が憎んだABと同じことをしているということになります。
…こんな結末でいいんでしょうか。
私は、娘の復讐のため結局はABと同じことをした森口先生に対し、何らかの裁きが下されるべきだったと思います。
そういうわけで、この本の結末は受け入れられませんでした。
もっとも、著者の文章力、構成力自体はすごいと思ったので、違う題材の本が出版されたら、それを読んでみたいとは思いました。
告白
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